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チタン溶接
チタン溶接について
チタン溶接加工の難しさ・チタン溶接に精通する高度な技術と繊細な加工により目的と材料特性から選択して様々なチタン溶接加工を行います。チタン溶接・チタン部品の試作なら高品質・短納期・小ロット・オーダーメイド・一点物・ワンオフ・個別生産に対応。チタンの溶接加工・チタン溶接部品の試作・相談・見積り・設計・製作は「ものづくり市場」にお任せ下さい。
チタン溶接加工は他の金属と異なり、その性質(ガスの激しい吸収性)によりチタン加工技術の中で最も困難だとされてきました。比較的低温でも非常にアクティブな金属であり、特に高温での反応性が非常に高いためです。チタンの融点は1668℃(1667℃や1812℃との報告もある)であり、この温度域ではチタンは侵入型元素である窒素、酸素、炭酸ガスなどと激しく反応し、窒化チタン、酸化チタン、炭化チタンなどに脆化します。その硬化脆化が発生したチタンは、著しく硬さを増し、延性の低下および割れの原因となり得ます。
チタン溶接における最大の留意点は「コンタミネーション」を防止することです。コンタミネーションとは、溶接時の大気(酸素・窒素)、油、水分、鉄粉、金属粉、砂塵、塗料粉などの汚染の事を指し、それらの防止対策をしっかりと行いながら溶接作業をすることにより溶接品質は安定します。
しかし実際には、真空およびイナートガス雰囲気中で溶接中はもちろん、溶接の終わったビードについても、アフターシールドシールドを慎重に行えば、チタン溶接は容易にできます。
チタン溶融溶接の場合、チタンは熱伝導度が小さい為、アークの発生している局部のみが溶融し、その湯流れが大変に良いことも溶接作業を容易にしています。またチタン溶接材料・溶接棒は母材の種類に合わせ共金系を使用することが原則です。
チタン溶接加工サンプル
チタン溶接シールド(バックシールド・アフターシールド)
- バックシールド 左有・右無
- アフターシールド 左有・右無
チタン溶接の動画
- チタン切削加工オーダーメイド
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チタン溶接の知識・技術・経験豊富な工場で加工を行いますので安心してご相談・ご依頼下さい。
チタン溶接のシールド方法
真空チャンバーでのシールド方法
チャンバー内にアルゴンガスなどのイナートガスを充填して大気からのコンタミネーションを防止し、全体をシールドする為、溶接品質を確保するため最もよい方法です。しかし欠点は溶接ワークの大きさや形状に制限があることや、真空作業に時間がかかることなどがあります。
大気・ガス置換でのシールド方法
真空チャンバーに替わる方法がこの方式で、真空装置が不要なので簡便になります。その反面,空気のガス置換は時間がかかるのでガスコストが高く、作業性が低いことや欠点があります。
セミクリーンルーム内でのシールド方法
チタン溶接作業は、土足禁止のセミクリーンルーム内で行なうと効果があがります。外部と区切ったの部屋とし、コンタミネーションの原因となる汚染物を持ち込まないようにします。またエアコンを使用するなどしてルーム内圧をやや高めておくこと、湿気よる結露を防止するようにします。以下に続くチタン溶接部シールドは必要です。
チタン溶接部シールド
チタン溶接は、溶融チタンへの空気の接触を防ぎ、同時に溶接熱影響部(容体化部と炭化物析出部)を大気から遮断・冷却するためのシールドが重要となります。
シールドガス
シールドガスは、イナートガスのアルゴンやヘリウムまたはアルゴン/ヘリウム混合ガスを使用します。通常は、比較的他のガスより安価なアルゴンガスを使用します。
チタン溶接用のシールドの3種類
トーチシールド
トーチシールドは、溶接トーチ内からタングステン電極の先端周辺やワークに対してイナートガスを流して大気をシールドすることです。しかし、トーチシールドだけでは、溶接熱影響部が350℃以下になるまで冷却することができない為、補助シールドとしてアフターシールドとバックシールドを併用して溶接を行う必要があります。またTIG(ティグ)溶接機は、プリフローやアフターフロー機能があるものを使用し、溶接作業前後もシールドします。
アフターシールド
※トレーリング or トレーラー・シールド
アフターシールドとは、イナートガスを流す治具が溶接した後からトーチについていき、溶接熱影響部を約 250℃まで冷却しながら大気をシールドすることです。チタンは溶融時にはもちろんのこと、凝固後もガスの激しい吸収性により、溶接の終わった溶接熱影響部にアフターシールドを行う必要があります。バックシールド
バックシールドとは、溶接部の裏側にイナートガスをあてる事で大気をシールドすることです。溶接部の溶けた金属が貫通していて裏波がでている場合は、特にバックシールドを完全にする必要があります。
チタン溶接のシールド治具について
アフターシールド治具およびバックシールド治具は、ほとんど市販されておらず溶接するワークと目標品質に適応したものをその都度設計・製作する必要があります。
チタン溶接シールド後の歪み・変形について
チタンの熱膨張係数(8.6×10-6/℃)が小さい為、溶接歪も小さいので、急冷および徐冷をしても変形の問題は少ないと言えます。
チタン溶接上の注意点
異物混入の排除をするためにセミクリーンルーム内などの溶接環境内にての作業を行ない、ホコリ、チリの少ない状況が望ましく、外部からほこり、異物が入り込まないクリーンな状態を保ちます。
チタン溶接の前処理
・開先の仕上げは機械加工でします(グラインター使用は不可)。
・チタンを溶接直前に開先内および溶接材料表面を溶剤(アセトン・メタノール等)で充分に洗浄(清掃・脱脂)します。チタン溶接作業中
・タングステン電極は、消耗しにくいセリウムもしくはランタナ入りのものを使用します。
・ワークをしっかり固定するなどして、仮付けは極力さけ、またタングステン電極の混入(巻込み)を防止のためにタッチスタートは絶対に避けるようにします。(高周波スタート)
・ウィービング法で溶接すると、シールドの層流域が乱れて溶接熱影響部(容体化部と炭化物析出部)も広くなるので、ストレートビードで行ないます。チタン溶接後
アーク消滅後も、溶接熱影響部にシールドを一定時間行う必要があります。これは、十分なシールドガスを流しながら冷却することにより、溶接品質を安定させることができます。TIG(ティグ)溶接機のアフターフロー機能、シールドガスを流すためのタイマー、ペダルスイッチ使用などの工夫をする必要があります。
チタン溶接方法
・チタン溶接は、通常タングステン電極の消耗が少なく安定集中したアークが得られるティグ/TIG溶接(直流正極性 DCEN)で行います。TIG(ティグ)溶接機は、高周波発生機能付きのものを使用しますが、これは溶接アークをタッチスタートさせないためです。プリフローやアフターフロー機能があるものを使用します。
・目安として板厚が5mm以上から、ワイヤ電極棒プラス(EP)を用いるミグ/MIG溶接(直流逆極性 DCEP)が可能となります。チタン溶接部のチェック
チタン溶接部の健全性
チタン溶接部表面の変色からの健全性の判断方法は、世界的にも簡便で重要な方法とされています。酸化皮膜の厚さで変色しますので,その色を目安にコンタミネーションを推定することができます。また硬さについては、日本溶接協会規格『WES7102イナートガスアーク溶接作業標準(チタン及びチタン合金)』では、純チタンの場合は正常な溶接部のビッカース硬さを目安として、母材の硬さ+40HV以内とありますので、200HV以下ならば、機械的性質もほぼ良好であるということができます。
チタン溶接部の酸化変色による合否判定基準
合格色
【銀白色】完全シールド状態で、コンタミネーションのない健全な溶接部である。
【黄金・麦色】ほとんどコンタミネーションのない状態の溶接部である。
【青紫(紫又は青)色】溶接部表面の延性に多少影響するが、溶接部全体としてはその性質にほとんど影響が無い。不合格色
【青白・灰色】シールド不良、かなりのコンタミネーションがある。薄板の溶接部では延性の低下が大きい。
【白・黄白色】溶接部は脆弱となる。チタン溶接の種類
アーク溶接
ティグ溶接(TIG溶接) / ミグ溶接(MIG溶接) / プラズマ溶接(Plasma arc welding) / 不活性ガス溶接
レーザビーム溶接(Laser beam welding)
電子ビーム溶接(Electron beam welding)
圧接
抵抗溶接(Resistance welding) / 重ね抵抗溶接 / スポット溶接 / シーム溶接 / 突合せ抵抗溶接 / フラッシュ溶接 / バットシーム溶接チタン溶接以外の接合方法
その他
圧接 / 爆発圧接(テルミット溶接) / 摩擦圧接 / 圧延圧着 / ろう付け / 拡散接合 / 機械的接合