
ものづくり 絞り加工技術
2017年03月15日
絞り加工技術+クリエイティブなアイデアで新しいものづくりを
板金加工の方法のひとつに、絞り加工という方法があります。金属の一枚板に圧力を加えプレスし、形を造る方法です。
プレスするだけと言うと単純な加工方法に思えますが、これがなかなか難しい技術です。
たとえば、薄く伸ばした粘土の板をぎゅっと押さえて形を作るところを想像してみてください。曲げるとしわができたり、
分厚さにむらができて形が歪んだり、ときには割れたりしてしまいますよね。
金属板を絞り加工するときも、このような問題が出てきます。そこで重要になってくるのが、金型や機械などのバランス。
より安定して、よりよいものを作ることができるよう、それぞれのものづくり企業は技術を磨いています。独自の技術やノウハウを
持っている企業も珍しくありません。
絞り加工のような繊細な加工は、もともと日本人は非常に得意です。日用品から医療機器、宇宙開発に使うロケットなどの部品まで、
さまざまなものが絞り加工で、日本のものづくり企業で作られています。
この背景には、おそらく、日本ならではの細かなところまでこだわる職人気質や、繊細さがあったのでしょう。
しかし近年は、海外の金型や絞り加工の技術も目覚ましい進歩を遂げています。
その最大の理由は、工作機械や3DCADの技術の進歩です。これらの技術やプログラムの進歩により、以前に比べると比較的簡単に金型づくりや
絞り加工ができるようになりました。
そのため、海外の金型制作や絞り加工のレベルはどんどん上がってきています。
そんな状況の中、日本のものづくり企業はこれからどうやって生き残っていったらいいのでしょうか。
私は、生き残るために意識すべきキーワードは「クリエイティブ」だと思います。
今までものづくり企業は、いいものを作っていればいいとされてきました。ものづくり企業の当事者も、いいものを安く作っていれば
大丈夫だろうと思ってきました。
しかし、どれだけがんばっても、人件費は途上国の安い労働力に負けます。頼みの綱の技術力も、目覚ましい勢いで途上国が追い上げてきています。
人件費や技術力だけで戦い続けていては、これからは非常に難しい戦いを強いられることになるでしょう。
そこで今、各ものづくり企業が力を入れているのが、ものづくりの前の、クリエイティブな段階から顧客と関わっていくことです。
具体的には、こんなものがあったらいいなというアイデア出しや、試作品を作って仕様を試行錯誤していく段階ですね。
クリエイティブと聞くと、ちょっとひるんでしまう人もいるかもしれません。しかし、今までのものづくりの経験があれば、
それほど怖がることはないのではないでしょうか。
よりクリエイティブなものづくりができるよう、いろいろと頭を使っていかなければいけない時代がやってきていると感じています。
-
温かいコーヒーが楽しめる
