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ものづくりブログ
成形
2017年03月08日
成形の金型から考える、ものづくりの話
射出成形によるものづくりを行う際に問題になることのひとつに、金型のコストがあります。
というのが、金型作成を日本国内のメーカーに頼んだ場合と、中国など海外のメーカーに頼んだ場合とでは、
10倍くらいの価格差になることもあるからです。
しかも、最近は海外の金型製作技術も高くなってきています。日本製と遜色ない出来のものも少なくありません。
質がほとんど変わらず、しかも価格は十分の1。これでは、日本のメーカーはとてもではないけれども海外のメーカーに
太刀打ちできないように思います。
しかし、実際に海外に発注した人の話を聞くと、やはりどうもいいことばかりではない様子が伺えます。
最も大きいのが、コミュニケーションの問題です。言語が違うこと、日本と海外とでは実際に顔を合わせて話す機会が
なかなか持てないことなどの理由から、細かなニュアンスがなかなか通じにくいのですね。
また、メールやSkypeなどのコミュニケーション手段が発達しているとはいえ、ものづくりにおいては、実際に顔を合わせて、
試作品を見ながら意見を交換しなければいけない場合もあります。
そのため、わざわざ担当者を外国に出張させて、ミーティングをしなければいけないというケースもあるそうです。
つまり、確かに金型製作だけにかかるコストは、海外に発注したほうが低く抑えることができる。
そのかわり、コミュニケーションなどにかかる時間や手間、人的コストがかかってしまいがちという問題があるというわけなんですね。
このような事情から、トータルで見た結果、日本国内のメーカーに発注したほうが、ストレスなくスムーズに話が進むのでよいと考える人もいます。
あるいは、日本のものづくりに携わる人間としてはちょっと困った話なのですが、金型の企画や製作、そして射出成形による生産までを
全部外国に丸投げするという解決策を取る人も。
そうなってくると、ものづくりのほぼすべての過程を外国で行うことになりますから、日本でその企業が行うことはなんなのだろうと
ちょっと考え込みたくなります。
企業として利益を出すことは経営的に大切なことだ思いますが、同時に、むかしから続いているものづくりの火が日本から消えてしまうのは
やはり残念ですし、避けたいもの。コストと利益のバランスを考えながらものづくりを続けていきたいものだと思っています。