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【モノづくり】ステンレスとアルミニウム:アルミニウムの特徴④
2023年06月24日
アルミは、自然界に存在する金属であり、酸化アルミニウムとしてアルミニウム鉱石(ボーキサイト)から採取されます。純アルミニウム以外にも、胴、マンガン、ケイ素等との合金としても広く使用されています。
他方、ステンレス鋼は、そのまま自然界存在するわけではなく、約10%のクロムを含む鉄の合金です。
アルミニウムの特徴:メリット・デメリット
<アルミニウムを採用する際の利点>
●軽い
比重は2.7程度 鋼材の約3分の1
●強度
他の金属を加えて合金化することで、比強度を高めることが可能
亜鉛とマグネシウムを添加後に熱処理した7000番系の合金は特に強度が優れる。
A7075(超々ジュラルミン)は航空機の部品にも利用されている。
●耐食性
アルミニウムは酸素と反応しやすく、その表面に非常に緻密な酸化皮膜が形成されることで
錆びにくい性質となっている。
●加工性
切削加工がしやすく、溶接が可能。
融点が低いため、鋳造にも適している。
●熱伝導性
アルミニウムの熱伝導率は、鉄の約3倍。
●通電性
銅と比較すると電気伝導率は60%だが、比重は銅の約3分の1であるため、
同じ重さの銅と比較すると2倍の電流を通すことができる。
●再生可能
長期使用後でも劣化しにくく、融点が低いため、容易に再生可能である。
●非磁性
非磁性体であるため、周囲の地場の影響を受けない
●低温に強い
鉄鋼などと違い、液体窒素(-196℃)や液体酸素(-183℃)の極低温下でも脆性破壊がなく、
靭性が大きい。
●毒性
食品類とは反応せず、体内に取り込まれても99%以上は排出され、土壌への害もない。
<アルミニウムを採用する上での懸念点>
●強度がやや低い
樋強度に優れるアルミニウムではあるが、鉄鋼材料と比較するとその強度は劣る。
●腐食の発生
錆びにくい特徴を持ってはいるが、塩気が多い環境や異種金属との接触により腐食する場合がある。
●線膨張係数が大きい
アルミニウムの線膨張係数は鉄系材料の2倍となっている。
加熱と冷却が繰り返される部品では、大きな熱応力が発生し、熱疲労による破損が発生する
可能性がある。
●疲労限がない
鉄系材料の場合、一般的に金属疲労が起こらない下限の応力である疲労限があるが、
アルミニウムにはこの疲労限がない。
すなわち、疲労限以下の変動負荷しか発生しない設計を行うことができないため、
様々な想定を行い、強度上の問題などを確認する必要がある。
●溶接が難しい
アルミニウム表面に形成された酸化皮膜を、溶接前に取り除く必要があるが、酸化被膜の融点は
約2000℃と高い。
また、アルミニウムは熱伝導率が高く融点が低いため、溶接時の熱が母材にすばやく伝わり、
母材に抜け落ちが生じる恐れがあるため、溶接には相当の熟練技術を要する。
今回はアルミニウムの特徴をご紹介いたしました。
次回はその種類についてご紹介いたします。