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【ものづくり】樹脂の基礎知識:非晶性と結晶性①

【ものづくり】樹脂の基礎知識:非晶性と結晶性①

2023年06月18日

樹脂には熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分類されることをこれまでにご紹介いたしました。
加熱後に冷却して再成型が可能である熱可塑性樹脂は、さらに結晶性と非晶性に分類されます。

結晶性とは、樹脂の分子構造が規則的なパターンで配置される状態を指します。
結晶性樹脂は、分子が結晶化しているため、硬い性質を持つことが一般的です。
また、通常、高い強度や耐熱性があります。
代表的な結晶性樹脂には、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン(PP)
などがあります。

非晶性とは、樹脂の分子構造において無秩序である状態を指します。
非晶性樹脂は、分子がランダムに配置されています。
そのため、非晶性樹脂は柔軟で透明な特徴を持ち、高い伸びや耐衝撃性を示すことがあります。
代表的な非晶性樹脂には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどがあります。
ポリエチレンテレフタラート(PET)のように、結晶性と非晶性の両方の特性を持たせることができる樹脂もあります。

違いは、見た目にも表れることがあります。
例えば、ペットボトルの中には、飲み口だけが白く、それ以下の部分は透明になっているものがあります。
一見すると別の種類の樹脂を一体化しているように見えます。
しかし、通常は同一種類のポリエチレンテレフタラート(PET)であり、白い部分は結晶化させているため不透明、
その他の部分は結晶化されていないため透明なのです。

飲み口だけを白く結晶化させる理由は、飲料を充填した後、飲み口に熱をかけて殺菌する工程における耐熱、
耐圧性能の向上のためです。
飲み口以外は、中身である飲料の色が分かるよう透明にしながら、飲み口だけを結晶化させて、
耐熱性等を向上させています。

なお、透明樹脂の代表例としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)が
挙げられます。
これらは、非晶性樹脂です。

次回はどのようにして樹脂を結晶化させるのか、についてご説明いたします。

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