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【ものづくり】樹脂の基礎知識:熱可塑性樹脂
2023年05月19日
合成樹脂には“熱可塑性樹脂”と“熱硬化性樹脂”があります。
熱可塑性樹脂は、高温になると溶融し、冷えるとまた固まるという性質を持ちます。
お菓子に例えて言うなら、熱可塑性樹脂はチョコレート、熱硬化性樹脂はクッキーのようなイメージです。
代表的な熱可塑性樹脂にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)
などがあります。
他方、熱硬化性樹脂は、熱を加えて固化すると、冷やしても固体のままで元の液状には戻らない性質を持っています。
代表的な熱硬化性樹脂にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などがあります。
この高熱で溶融し、冷える硬化するという性質を利用し、熱可塑性樹脂は、金型などで大量に生産する
プラスチック製品の材料として活用されています。
熱可塑性樹脂は、炭素を中心とするプラスチック分子の基本単位であるモノマーが鎖状につながった高分子
(ポリマー)となっており、これを鎖状分子構造と言います。
この鎖状高分子は、分子量の高さと鎖の長さが分子間力(分子同士が離れない力)の強さ等の性能に
そのまま影響します。熱可塑性樹脂は加熱によって再成形可能な樹脂である点に特徴があります。
熱可塑性樹脂の中でも、特に強度や剛性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐寒性、耐熱性など機能性を有するものは
エンジニアリングプラスチックと呼ばれます。
例えば、その耐熱温度(※)に着目すると大きく3つに区別されます。
※耐熱温度:その特性や性質を損なわずに使用できる温度
連続使用温度(テンションの掛かっていない状態での耐熱温度)
●汎用プラスチック(耐熱温度:100℃以下)
ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PVC(塩ビ) など
●エンジニアリングプラスチック(エンプラ)(耐熱温度:100℃から150℃)
PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタレート) など
●スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)(耐熱温度:概ね150℃以上)
PEEK(ピーク)、PAI(ポリアミドイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、
PES(ポリエーテルサルフォン)、ポリイミド(PI)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)など
※ポリイミド(PI)には熱可塑性と熱硬化性の2種類があります。
上記のように、熱可塑性樹脂の中でもスーパーエンプラは、最も高性能な合成樹脂材料です。
これらの材料は、特に自動車、航空宇宙、電気・電子、医療機器、産業機械などの分野で使用され、
高温化でも合成樹脂としての高い品質を維持しながら製品の軽量化や省エネルギー化にも貢献しています。