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【ものづくり】熱処理:金属組織

【ものづくり】熱処理:金属組織

2023年05月25日

今回は、熱処理における金属組織についてお話します。

前回、オーステナイト、マルテンサイトについて取り上げましたが
もう少し補足して説明します。

オーステナイト、マルテンサイト等は、鉄を主成分とする合金の一種で、
急冷させることによって生成される組織構造のことを指します。
これらは、熱を加えることで金属組織を変態させ、物性を変えることができます。

その変態した組織は、下記のように分類できます。

尚、それぞれの名称は、化学物質の元素等と同様にその組織を発見した人の名前を元に命名されています。
組織を発見した人の名前が付けられるということは、それらの組織の発見がいかに難しいか・・・。
想像に難くありません。

●マルテンサイト、オーステナイト

金属を硬くするにはマルテンサイト組織にする必要があるのですが、組織をマルテンサイト化するために、
まずは一旦オーステナイトという組織にする必要がああります。

オーステナイトは、常温では存在せず、730度以上に熱した際に変態して存在する組織です。
このオーステナイトを冷却することにより、マルテンサイトという組織に変態します。
この冷却速度が速いほど、マルテンサイト組織は増加し、硬さも増すのですが、
変態した組織が増すほどに歪みが生じ、変形や割れなどが生じる可能性も高くなります。
オーステナイトの構造や性質を理解することは、鋼材の熱処理や材料設計などにおいて重要な要素となっています。


●パーライト、フェライト、セメンタイト

上述のように、マルテンサイトはオーステナイト組織を急冷することで変態させることができますが
マルテンサイト組織よりも柔らかい組織にしたい場合は、冷却速度をゆっくり目に調整します。
ゆっくりと冷却することによって変態した組織がパーライト、フェライト、セメンタイトと呼ばれる組織で、
これらはそれぞれに含まれる炭素量の違いにより区別されます。


【まとめ】

セメンタイト:炭素量が6.7%以上…硬度が非常に高く、鋼材の耐摩耗性を向上

パーライト:鉄と炭素からなる均質な組織で、炭素量が0.8%以下の場合に形成。
      パーライトは、フェライトとセメンタイトの層状の組織。硬度が比較的高く、鋼材の強度もある。

フェライト:炭素量が0.02%以下の場合に形成される組織。柔軟性が高い。
      鉄の中で最も柔らかく、比較的低い磁性を持つ。
      電気用途に広く使われる磁芯材料などに利用される。

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