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【ものづくり】熱処理:熱処理と金属組織

【ものづくり】熱処理:熱処理と金属組織

2023年05月13日

熱処理と金属組織

金属材料は、規則正しく配列してできた金属元素による結晶材料であり、
一般的な金属材料はさまざまな方向を向いた結晶が集合した多結晶体です。
結晶の一つ一つが結晶粒と呼ばれるもので、結晶の種類や、大きさ(結晶粒径)、
分布などのことを金属組織といいます。
金属の性質は金属組織の影響を大きく受けるため、利用目的に応じて
変態を促すための熱処理を施す必要が出てきます。

金属材料で最も代表的な鉄で説明いたします。

鉄は、含まれる炭素が0.2%未満のものが「軟鋼」、0.2%から2%含まれるものが「鋼」、
2%以上含まれたものが「鋳鉄」、そしてクロムを10.5%以上含んだ「ステンレス鋼」と
4種類に大別されます。



炭素濃度によって変わる金属組織

鉄は、炭素濃度により金属組織が変わります。
硬さ、柔らかさを基準に説明すると以下のようになります。

●柔らかい組織
パーライト、フェライト、セメンタイト
※炭素量が少ないものがフェライト、炭素量が多いものがセメンタイト、
 炭素量が0.77%であればほぼパーライトとなります。

●硬くなる前の過程である組織
オーステナイト
※このオーステナイトは非常に硬く、強度が高いため、刃物や工具の材料として利用されます。

●硬い組織
マルテンサイト
※硬度が高く、刃物の刃先や歯車の歯先など、耐久性の高い部分の材料として使用されます。
熱処理の主な目的は、「硬くする」「柔らかくする」「組織を安定させる」ことであり
その目的に応じて熱処理方法(加熱方法、冷却方法)が変わります。
それぞれの熱処理によっておこる性質を理解しておくことが、材料設計上とても重要です。

次回は、金属組織について少し掘り下げます。

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