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チタンの弱点
2018年01月26日
2つの弱点があるチタン
チタンは、軽く、強く、腐食に強いことから、さまざまなジャンルの製品に使われています。しかしそんなチタンにも、大きく2つの弱点があります。
1つめの弱点は、価格です。
チタンは、自然界では単体として存在することがほとんどありません。酸素などの元素と強く結びついている状態で、鉱石の中に
存在していることがほとんどです。そのため、天然のチタンを工業用に利用できるようにするためには、まずこの結び付きを外し、
チタンだけを取り出す作業を行う必要があります。
チタンの製造には、クロール法という方法が用いられるのが一般的です。クロール法でチタンを製造するには、非常に多くのエネルギーと
コストがかかります。そのため、ほかの鋼材などと比べるとチタンの単価は高価になる傾向があります。
よりコストをかけなくてすむチタン製造方法は、現在いくつか研究されています。しかし、まだ実用化には至っていません。
それでも、近い将来はより安価な精製方法が実用されるものと期待しています。
2つめの弱点は、加工の難しさです。
チタンの特徴のひとつである「強さ」は、加工の際には弱点になります。
たとえば、代表的な問題に「チタンを加工すると工具の刃の摩耗が大きくなる」というものがあります。
チタンを削ったり切断したりする際には、工具とチタンの間で摩擦熱が発生します。チタンは、熱伝導率が低い素材です。
そのため、発生した摩擦熱は逃げることなくその場にこもり続けます。その結果、工具に負担がかかり、摩耗が大きくなってしまいます。
また、チタンにはたわみやすいという特徴があります。メガネフレーム、ゴルフドライバーなどを作るのに非常に適した特徴なのですが、
これは同時に、プレス加工時に「割れやすい」という弱点となってあらわれます。また、スプリングバックといって曲げられた状態から
元に戻ろうとする現象も起こるため、加工精度が低くなりがちです。
さらに、チタンは酸素などの元素と結びつきやすいという特徴があります。この特徴によりチタンの表面には酸化皮膜が作られ、
チタン本体を腐食などから守っています。しかし、加工時にはこの酸化皮膜が剥がれ、工具やプレス金型と焼き付いてしまうという現象も
しばしば起こります。
このように、チタンの優れた特性はまた、加工時においては弱点となりえます。しかし、この弱点は、加工する工場の設備や熟練の職人技に
よって十分カバーすることが可能です。私たちの周囲にあるチタン製品を見れば、それは一目瞭然でしょう。
現在、チタンにはコストと加工の難しさという2つの弱点があります。しかしどちらも、技術の進歩などによっていずれは全て解決されるのでは
ないかと期待しています。
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