ものづくりブログ
ものづくりの伝統

ものづくりの伝統

2017年09月21日

ものづくりの伝統が海外で伝承される時代に!?

「ものづくり」といったとき、その「もの」には、実にさまざまな種類のモノが含まれます。自動車、家電、パソコンやスマートフォン
・タブレット、アパレル、文房具、生活雑貨など、ひとつひとつ挙げていくとなるときりがありません。

「もの」の中には、伝統工芸、伝統産業も含まれます。ものづくり市場がある京都でいくつか例を挙げると、京友禅、西陣織、京人形、
清水焼などが挙げられるでしょう。

このように、さまざまな「もの」が含まれる「ものづくり」ですが、その多くの分野で現在直面しているのが、後継者不足という問題です。
町工場などの小規模な工場はどんどん姿を消していき、効率的に大量生産ができるオートメーション化された大規模工場へ、
さらにはより安い人件費で製造できる海外工場へとものづくりの場は移り変わっていきました。

京都といえば着物を連想する人も多いことでしょう。この着物ひとつとっても、30年から40年くらい前まではまだ、織機(しょっき)の音が
聞こえてくる家をときどき見かけることがありました。布を染める染料の独特の匂いがしてくる家も見かけることがありました。
しかし今や、そのような家を見かけることはほとんどありません。和裁士の数も減り、いまやお仕立て上がりの手頃な価格の洗える着物や浴衣には
「made in china」のタグが付いています。

後継者不足に陥ると、技能や技術が次世代に伝わらなくなってしまいます。伝統産業の中には、現役でものづくりをしている人が
もう70代、80代の高齢者のみで、その人に万一のことがあれば、技術や技能が途絶えてしまうという伝統工芸作品も珍しくありません。

では、技術や技能の伝承が途絶えないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。そこで必要なのが、発想の転換です。

技術を継承するのは、何も日本国内の日本の職人でなくともいいわけです(もちろん、そうであることがベストであると個人的には思いますが)。
前述の着物の例で言うと、着物を作る技術や技能は現在、日本の和裁士から中国の職人に受け継がれているとも言えるわけです。

着物をはじめとする日本の伝統工芸の技術が外国に移るのはけしからん、と思う人もいることでしょう。
確かに、国外に伝統工芸の技術が流出するのは寂しいですが、後継者不足で技術自体がなくなってしまうよりは、外国で残るほうが
まだよいのではないか、とも思います。残っていれば、それがまた日本に帰ってくる可能性だってあるのですから。

技術は残す、次世代に伝えることが重要です。国内での伝承が難しいのであれば、
次善の策として、いったん海外に伝承させるということも選択肢のひとつとしてありうるのではないでしょうか。

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