ものづくりブログ
1000年の真理とともに、京都のものづくりは発展していく

1000年の真理とともに、京都のものづくりは発展していく

2017年07月05日

京都は古都、観光都市であるだけでなく、任天堂やワコール、オムロン、京セラ、島津製作所などの世界的な企業もひしめく
ものづくりやイノベーションの町である。そういう話を私は普段からしています。

そんな京都に、数年前から新しい動きが出てきています。「京都市ソーシャル・イノベーション・クラスター構想」です。

この構想は、その名の通りソーシャルビジネス、つまり社会問題に取り組み、これを解消することを目指すビジネスを支援し、
効率や競争原理だけではない、新しい価値観を日本や世界各国に広げていこうというものです。

ものづくり企業としては特に、ベンチャー企業のビジネスプランを評価し、支援する「京都市ベンチャー企業目利き委員会」や、
すぐれた事業計画を持つ中小企業を認定し支援する「オスカー認定制度」に注目をしています。
「京都市ベンチャー企業目利き委員会」には多くのものづくり企業が評価されており、さまざまな結果を出しています。
ものづくりに積極的に支援をしてもらえることは、京都のものづくりを元気にするうえでとても大切なことだと思っています。

こういった取り組みの背景には、京都が持っている一種のプライドがあるのでしょう。もうずっと以前から、産業をはじめとする
ありとあらゆる分野で東京一極集中によるデメリットが指摘されています。東日本大震災時にもその危険性は指摘され、首都機能の
一部移転の必要性も論じられ、京都には文化庁の一部が移転することになりました。
しかし、まだまだ現実はなんでもかんでも東京に集中しているという状態です。

この状態に対し京都は、静かに異を唱えてきました。1999年に策定された「京都市基本構想」には、自分たちを「効率や競争を過度に重視し、
大量消費を繰り返してきたこれまでの社会のあり方に対して、それとは別の節度ある生き方を示しうるような都市文化を培ってきた」と誇り、
そのうえで「信頼が基礎にある社会をめざし」「伝統産業から先端技術産業まで、農林業から観光産業、サービス産業まで高品質・長寿命で
付加価値の高いものづくりのわざや高度な情報技術、さらには洗練されたデザインや斬(ざん)新な企画力をもつシステム」を
作っていくことを謳っています。

誤解していただきたくないのは、私はけっして、東京一極集中を否定するものではありません。哲学者である梅原猛氏は、
かつてこういうことを言ったそうです。「100年の真理は東京で学ぶ。1000年の真理は京都で学ぶ」。100年の真理ももちろん必要でしょう。
しかし、100年の真理がその次の100年にも通用するとは限りません。100年の真理を学びつつ、より長いスパンで通用する真理を学ぶことも
また大切です。

京都で1000年の真理を学んだ人たちの中から、どんどん元気なものづくり企業やソーシャルビジネスが生まれ、日本に、世界に
いい影響を与えつづけていってほしい。私は心からそう願っています。

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